海石榴(つばき)

静寂な湯河原温泉の中でも、山々の濃い緑に囲まれた辰沢の清流に沿った谷あいに位置し、深山の趣を呈する遠景から周囲の山々の裾が迫る近景に至るまで、他の工作物は一切視野に入ってこないという、現在の日本ではおよそ考えられない奇跡的な環境に海石榴はある。迎賓館は海石榴の別館として建築され、さらにパブリックな要素を充実させることが最大の目的であった。
昭和初年からこの地で旅館業を営んでこられた、齋藤隆利社長の山翠楼、海石榴の集大成として、京都嵯峨野を思わせる建築を造り上げたいとの念願で、設計を入江三宅設計事務所に、施工は昭和51年から海石榴の一期工事以降、総ての工事を特命で頂いていた当社に下命され着工。
当社も山翠楼工事の集大成を造り上げるという気概で取り組んだ。当社は得意とする数寄屋風の木工事の木割寸法や材料の選定等、積極的に提言をし、ご採用頂き完成した建物は、昭和61年の神奈川県の建築コンクールで最優秀賞を受賞するという、高い評価を受けた。

 

名 称  海石榴
所在地  神奈川県足柄下郡湯河原町宮上字辰沢776番地外
発注者  株式会社山翠楼
設 計  株式会社入江三宅設計事務所
規 模  鉄骨造・鉄筋コンクリート造・地上3階建 地下2階
延床面積  3,007,652 ㎡